2015年5月19日火曜日

MACDの本当の使い方(1): シグナルとのクロス

私の最も信頼しているテクニカル指標の一つ、MACDの使い方の解説シリーズです。

なんとMACDだけで全8回(+番外編1)の長編です。かつてこれほど詳細なMACDの解説があったでしょうか!?

MACDの力、引き出せていますか?

MACDは非常によく使われているテクニカル指標で、多くのWebサイトや書籍が使い方を解説しています。大抵の説明は以下のようなものです。
  • MACDラインとシグナルラインとのゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り
  • MACDラインがゼロラインを上抜けたら買い、下抜けたら売り
しかし、これはMACDの使い方のほんの一部でしかありません。

このシリーズでは「MACDの本当の使い方」と題して、あまり知られていないMACDの使用法を解説し、MACDがいかに優れたテクニカル指標であるのかを力説していこうと思います。

シグナルラインとのクロス、どんな風にクロスすればいいの?

第1回目は、MACDラインとシグナルラインとのクロスに関してです。

「MACDラインとシグナルラインとのゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り」というルールですが、このクロスの中には良いクロス悪いクロスがあるのをご存じでしょうか。

これを知らないままでは、悪いクロスに騙されてしまいますよ!

良いクロスは次の3つです。
  1. 大きなスイングでの、適度な角度がついたクロス
  2. ゼロラインより上のゴールデンクロス、ゼロラインより下のデッドクロス
  3. その他のシグナルと同時に起こったクロス
悪いクロスは、この3つのどれにも該当しないクロスです。3はトレンドラインのブレイクなど他のシグナルと同時にクロスが発生した場合のことで、別の記事で解説します。

では、1と2について見ていきましょう。

1.大きなスイングでの、適度な角度がついたクロス

1に関しては多くの人が経験から学んでいると思います。精度の高いシグナルだと解説しているサイトや書籍も、よく見かけますね。

大きなスイングでのクロスとは、ゼロラインを大きく下回ったポイントでのゴールデンクロス、大きく上回ったポイントでのデッドクロス、のことです。

MACDで大きなスイングが起きるのは、急激な動きがあって、短期の移動平均と長期の移動平均の乖離が大きくなった時です。この乖離が収束していくときを狙う、ということになります。

大きさや角度の基準は?

「大きいスイング」「適度な角度」とはどれくらいのものを指すのでしょうか?このシグナルは多くの人が知っているのに関わらず、実は明確な基準がありません。

チャートの形、相場の情勢、プライスアクション、などを総合して判断しなくてはなりません。このため経験が必要で、私が紹介するシグナルの中では若干使いこなすのが難しい部類に入ります。強いて目安を挙げるとすれば、画面上で最も大きいスイングである、角度は30~45°くらい、といった所でしょうか。


クロスする角度が浅い場合は、再び逆方向のクロスが起こり、2の「ゼロラインより上のゴールデンクロス、ゼロラインより下のデッドクロス」になってしまうので要注意です。もし引っかかってしまった場合は、すぐに損切りをしなくてはなりません。途転してもいいでしょう。

クロスする角度が急すぎる場合もダマシになることが少なくありません。急落したもののすぐに戻した場合などで起こります。クロスが発生した時にはすでに動きが終わっていて、エントリーが遅すぎる、となってしまいがちです。

番外編: 「シグナルとのクロス」の補足もご覧ください。

2.ゼロラインより上のゴールデンクロス / 下のデッドクロス

2はほとんど知られていないと思います。少なくとも私は、国内のサイトや書籍で見たことがありません。それどころか、これをダマシのクロスだと解説している記事をいくつか見たことがあります。とんでもない!

論より証拠ということで、チャートを見てください。


このチャートだけで5か所もシグナルが出ていて、全て上手くいっています。選びに選び抜いたチャートではなく、記事を書いている現在のドル円1時間足ですよ!みなさんが今みているチャートにもきっとありますから、探してみてください。

MACDラインがゼロラインより上にあるということは、短期移動平均は長期移動平均よりも上にあり、相場は強気ということになります。一時的にMACDラインがシグナルラインより下にある状態だとしても、それは上げ相場が一休みしているに過ぎません。調整をこなしてもう一段の上昇に転じる瞬間を、このシグナルは捉えるのです。

シグナルが発生した局面によっては、「高値を買ってさらに高値で売る」をしなくてはならないため、勇気が必要です。しかし敬遠して手を出さないにはもったいない、非常に精度の高いシグナルです。ぜひ使いこなしましょう!

ただし、MACDにおける高値圏/安値圏で発生した場合は、値幅や精度が低下するため、シグナルを注意深く解釈する必要があります。慣れないうちは、ゼロライン近辺のクロスだけを狙っていくといいでしょう。詳しくは番外編: 「シグナルとのクロス」の補足をご覧ください。

悪いクロス

最後に悪いクロス、つまりダマシについてです。


ゼロラインより下のゴールデンクロス、ゼロラインより上のデッドクロスが1か所ずつ発生し、ダマシに終わっています。どちらもスイングが小さく、クロスの角度が浅いというのが悪い理由です。

両者ともその後に逆方向のクロスが発生して、2の「ゼロラインより上でのゴールデンクロス、ゼロラインより下でのデッドクロス」になってしまっています。

こういう場合、ダマシのシグナルに引っかかった人が損切りを強いられるので、反対方向に大きく動くのです。逆に言えば、2のシグナルはこのために成功しやすいのです

Next Topic

次回は”水平ラインブレイク”を解説します。こちらも超強力なシグナルです。ご期待下さい。

See also ...
MT4インジケーター: テクニカルの王様、MACD

チャートで使用している「見やすいMACD」インジケーターです。
MACDオシレーターも付いています。ぜひ使ってみてください!

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4 件のコメント:

  1. Peaky FX様
    MT4初心者です。
    MT4オリジナルに比べて、大変見やすいインジケーターをご提供くださり、誠にありがとうございます。
    これからもご活躍祈念しております。
    まずは御礼かたがた。
    じぇっ太

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  2. こんにちは、まだいろいろ詳しくないのですが、SMAのMACDのインジケーターっていうのがインターネット上にほとんどないようなのですが、(検索しても目につかない、)どのような理由でEMAなのかなど、難しい事はおいておいてSMAのMACDを比較に表示してみたいのですが、ただ、チャート上のインジケータの期間がそれぞればらつきがあって(それぞれいろいろな理由で期間含めて作られているからだとは思うのですが、)自分が複数のインジケーターを表示している時にそれぞれのインジケーターの意味合いを見失いやすいというか、同じ期間で統一して使ってみたらどうなるのかなといった感じなのですが、、
    難しいですか、、それとも無料配布できるくらい簡単に作成というかEMAからSMAへの変更の手を加えるような事は可能ですか?、、、

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    1. こちらで公開しているMACDはSMAを設定できます。

      MT4インジケーター: テクニカルの王様、MACD
      http://peakyfx.blogspot.jp/2015/05/mt4macd.html

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  3. 回答ありがとうございます、参考にしたいと思います。

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