2015年5月22日金曜日

MACDの本当の使い方(3): ゼロライン反発

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「MACDの本当の使い方」シリーズ第三回は、ゼロラインに関連したシグナルについてです。

良く知られているゼロラインとのクロスと、あまり知られていない”ゼロライン反発”というシグナルを解説します。

みんなおなじみゼロラインクロス

「ゼロラインを上抜けたら買い、下抜けたら売り」というシグナルは、ご存知だと思います。

短期の移動平均と長期の移動平均がクロスした時に発生するもので、基本的ですが有用なシグナルです。

値幅のない相場ではクロスの角度が浅くなり、ダマシになりやすい傾向がありますので、この点には注意しましょう。


これから説明する”ゼロライン反発”は、ゼロラインクロスとも関係する話になっています。

反発の仕方は3パターン

さて、ここからはあまり知られていないMACDとゼロラインの秘密の関係です。。。

ゼロラインとのクロスは、短期の移動平均線と長期の移動平均線がゴールデンクロス/デッドクロスしたときに起こります。したがって、強気から弱気へ、あるいはその逆へ、相場の流れが転換するときに発生するのです。

しかし、転換直前で反転して、あるいは転換直後に反発して、元のトレンドに復帰してしまったらどうでしょうか?

トレンド転換を期待してポジションを持っていた人は、相場の流れから取り残され、いずれ損切りを余儀なくされてしまいます。積み上がったポジションが軽くなることで、勢いに一層の弾みがつくこともあるでしょう。

”ゼロライン反発”は、こうした相場の力学を利用したシグナルで、次の3種類があります。
  1. MACDラインがゼロラインとクロスする直前で反転
  2. MACDラインがゼロラインとクロスした直後に反発、再びクロスして反対側へ抜ける
  3. MACDラインが左右対称な形を描いて反対側へ抜ける

1, 2.ゼロラインとクロスする直前で反転 / 直後に反発

まずは「1.ゼロラインとクロスする直前で反転」と「2.ゼロラインとクロスした直後に反発」について見ていきましょう。

ゼロラインとのクロスの直前・直後でMACDラインが方向を変えるポイントを探します。下図チャートでは買いシグナルが3か所あります。


1つ目はクロス直前の反転です。この例では反転してすぐ仕掛けていますが、シグナルとのクロスを待つ戦術も有効です。値幅は少し小さくなりますが、より精度が高くなります。

2つ目もクロス直前の反転です。「ゼロラインより上のゴールデンクロス」を同時に満たしています。両者ともやや鋭い反転の仕方ですが、どちらかといえば滑らかに方向を変える方が望ましいです。

3つ目は、クロス直後の反発です。ゼロラインと再び上抜けるタイミングで仕掛けます。またこのエントリーポイントは、「3.左右対称に反対側へ抜ける」、「MACDラインとシグナルラインのゴールデンクロス」、そして次回解説する”トレンドラインブレイク”も満たしています。

条件が重なった場合は、通常より強いシグナルであると見なします。

3. 左右対称な形を描いて反対側へ

次は「3.左右対称に反対側へ抜ける」についてです。しばしば、「2.ゼロラインとクロスした直後に反発」と同時に発生します。

ブル派とベア派の力関係がはっきりしている場合、チャートもMACDもきれいな形を描きます。このような場合は、相場がトレンドに従って素直に動くので、ゼロラインとのクロスが有効に機能します。

ブル派とベア派がシーソーのように攻守交代する相場に上手く乗っかる、というイメージでしょうか。

「左右対称な形」というのは、単純な山や谷の形だけでなく、2こぶ山や三尊のような形も含まれます。左右の対称性はそこまで厳密である必要はありません。特に、小さい山や谷に関しては2の条件を同時に満たすため、比較的おおざっぱに判断します。

大きさに関しても、大きいものから小さいものまで、様々なものを含みます。大きいものは、ゼロラインでの反発というよりも、通常のゼロラインクロスの高精度バージョンといったイメージですね。

ただし、大きい山や谷の場合は、相場局面が変化している場合があるので、注意が必要です。チャート上でのトレンドと明らかに反する場合は、逆ダイバージェンスが起きていますから、トレンド方向のエントリーポイントを探すべきです。

さて、チャートを見ていきましょう。


1つ目のポイントは、きれいな山を描いてクロスしています。通常のゼロラインクロスと同じく、クロスしたところで仕掛けます。

2つ目は、先に解説したとおり、4つのシグナルが重なった強力なシグナルです。

3つ目は、大きな山を描いてクロスしています。大きい割にかなりきれいな対称性を持っていますね。

狭いレンジ相場では使えない

ゼロライン反発に限らず、MACDは値幅の狭いレンジ相場を苦手としています。

MACDラインの高さがなくなって見づらいだけでなく、ゼロライン付近を何度も行き来するため、ダマシのシグナルが頻発してしまいます。

こういう時には、おとなしくレンジをブレイクするのを待ちましょう。


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3 件のコメント:

  1. Peaky FXさん、有用な記事をありがとうございます。
    MACDのインジケータも使わせていただいていて、色もきれいで見やすく、感謝です。
    こちらの「本当の使い方」で勉強させていただいています。
    今回の記事に関してですが、1.ゼロラインとクロスする直前で「反転」と、2.ゼロラインとクロスした直後に「反発」、の「反転」と「反発」とはどのように区別されていますか?
    また、クロス直前の反転で、「どちらかといえば滑らかに方向を変える方が望ましい」とあるのは、相場のどのような状況を表しているのでしょうか。滑らかでないと、反転せずに、そのままゼロラインとクロスする方向へ行きやすいということになるから?とも考えましたが、自信がないので質問させていただきました。
    気にしなくても良いことが気になっているのかもしれませんが、教えていただければ、うれしいです。よろしくお願いいたします。

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    1. 記事をご覧いただき、ありがとうございます。

      ゼロラインとクロスする「直前の反転」と「直後の反発」の区別は、文字通りクロスしたかしなかったかです。売り買いが拮抗するレベル(ゼロライン)まで調整してから、またトレンド方向に戻っていく、というのがこの動きの本質です。きっかりゼロで方向転換することは稀ですから、直前で反転か直後で反発のどちらかになるというだけで、特に区別する必要はありません。

      滑らかに方向転換したほうがいいのは、MACDが急激にV字転換するときには、チャートはさらに急なV字転換をしていてトレードするのが難しいからです。

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  2. 早速のご返信、ありがとうございます。
    思い切って質問させていただいてよかったです。MACDをよく理解して、「本当の使い方」ができるようになって、トレードに生かしたいです!
    今後ともよろしくお願いいたします。

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