2015年7月19日日曜日

MACDの本当の使い方(番外編): 「シグナルとのクロス」の補足

「MACDの本当の使い方(2): 水平ラインブレイク」の記事に対するご質問を頂きました。


内容は、そこで紹介したチャートの黄色で囲んだところにある2か所の「シグナルラインとのクロス」に関するもので、
  • 1つ目のクロスは「大きなスイングでの適度な角度がついたクロス」では?
  • 2つ目のクロスは「ゼロラインより上のゴールデンクロス」では?
というものでした。

Q1.1つ目は「大きなスイングでの適度な角度がついたクロス」?

A1. 大きなスイングですが、適度な角度がついたクロスとは言えません。


上のチャートは、黄色い枠で囲んだ部分を拡大したものです。MACDの軌跡を見てみると、クロスが起きたスイングは、十分に「大きなスイング」であることが分かります。

問題は、これを「適度な角度のついたクロス」と見なしてもよいのか、ということです。


「適度な角度のついたクロス」とは、綺麗な山形を描いてクロスし、クロスした後はシグナルラインと交わることなくゼロラインまで到達するようなものをイメージしています。チャートの動きも、綺麗な山を描きながら行き過ぎた動きを巻き戻すようなものを期待しています。

このような動きをするためには、MACDラインにもチャートにもある程度の勢いが必要です。逆に言えば、この勢いに乗ってトレードするからこそ、このシグナルで勝てるのです。

「角度のついていないクロス」は、クロスした時点でMACDラインとシグナルラインの角度が近いので、MACDラインが少し角度を変えただけで逆方向のクロスが発生してしまいます。

そもそもこうなるのは、相場が高値圏や安値圏に執着しているからです。MACDラインが頂点付近で長く滞在するので、それの移動平均であるシグナルラインも同水準に迫ってきます。この状態からのクロスはどうしても浅くなってしまうのです。

どのような角度が適切なのかを判断するのは難しいのですが、MACDラインの頂点とシグナルラインの頂点の高さの差がひとつの目安となります。

もし角度の浅いクロスもトレードしたい場合は、MACDラインとシグナルラインがしっかり離れたのを確認することが大事です。今回のチャートでは2つのラインがハグしたままでした。

後に書くように、MACDラインが頂点付近に留まってしまうケースは、「大きなスイングでの適度な角度がついたクロス」は狙えなくなりますが、代わりに水平ラインブレイクを狙えるようになるので、決してがっかりすべき事態ではありません。

このクロスは見逃すべきだったのか?


積極的なトレーダーがこのシグナルでトレードするというのであれば、それはアリだと思います。理由は以下の3つです。
  1. MACD上でもチャート上でも高値圏である。
  2. 下へ抜ければ水平ラインブレイクが発生し、高値圏であることと相まって、大きな値幅が期待できる。
  3. チャート上で狭いレンジ(トライアングル)を形成しており、損切りを近くに置ける。
非常にリスクリワードレシオに優れたトレードです。適切なポジションサイズで臨むのであれば、決して悪い手ではありません。ただし後にも書くように、もう少し待つのがより賢明だと私は考えました。

Q2.2つ目は「ゼロラインより上のゴールデンクロス」?

A2. 「ゼロラインより上のゴールデンクロス」です。ただし高値圏のため、警戒感をもってトレードする必要があります。


同じ「ゼロラインより上のゴールデンクロス」でも、ゼロライン近くで発生したものと、高値圏で発生したものを比べると、期待される値幅が異なります。当然、高値圏で発生したクロスは、残されている値幅が少なくなります。

また、利食いをしたり逆張りしたりする参加者が増えてくるので、頭の重い展開となりがちです。

ですから、ポジションもそうした状況に見合った大きさで取る必要があります。チャート上でもMACD上でも相当な高値圏ですから、このシグナルを見て全力のポジションを抱えるのは明らかにリスクが高すぎます。

一般的な話をすれば、MACDの高値圏/安値圏で「ゼロラインより上のゴールデンクロス/下のデッドクロス」が発生したら、
  • ポジションをまだ引っ張っているならば、果敢に増し玉して攻める
  • スクエアの状態から新規で入るならば、ポジションサイズを抑える
ということになります。

慣れないうちは、ゼロライン近辺で発生した「ゼロラインより上のゴールデンクロス/下のデッドクロス」に絞って狙っていくというのもアリだと思います。

今回はどうすべきだったのか?

とはいうものの今回のシグナルは、高値圏で発生したシグナルにしては期待の持てるシグナルです。理由は以下の3つです。
  1. 全体チャートでは強力な上昇トレンドであり、高値更新を阻む抵抗ラインもない。
  2. 上へ抜ければ、直前の小さな山だけでなく、その前の複数の大きなスイングを上回る水平ラインブレイクが発生するため、値幅が期待できる。
  3. アセンディング・トライアングルをブレイクした。
アセンディング・トライアングルは、上抜けする頻度が高いとされており、ブレイク後の目標値は三角形の高さ分です。今回はちょうど目標値を達成したところで折り返しました。

チャートパターンの知識を踏まえれば、ブレイクした時点で「ゼロラインより上のゴールデンクロス」が発生するのが予見できます。早い段階で見切り発車的にポジションを取り、目標値を達成したところで一部を利食いすれば、少なくとも損を出すトレードにはならないはずです。

もしこうした事情がなければ、ハグしていたMACDラインとシグナルラインが離れるのを見計らってエントリーすることになります。すると今回の場合、見事にど天井。。。ブレイクした水準を割った時点で損切り、といったところでしょうか。

より高勝率のトレードをするために

MACDを使うときに限った話ではありませんが、より高勝率なトレードを求めるならば、以下の2つのどちらかをする必要があります。
  • 動きをよく見極めてから行動する(=頭としっぽはくれてやれ)
  • 厳選した高精度のシグナルにだけ従う
前者は値幅を犠牲にすることになり、後者は機会損失を許容することになります。高い勝率を維持しながら、相場の隅から隅まで取る、ということは困難なのです。

両方の条件を満たせる場合もある

今回の例では、少し待つことで上記の両方の条件を満たすことが可能でした。

ポイントはチャート上のトライアングルと、MACDラインが形作っているレンジです。こうした膠着した局面は、トレンドフォロー派にとっては退屈な相場ですが、「いつか必ずブレイクする」という優れた性質を持っています。

高値圏や安値圏でトライアングルやレンジが形成されている時に、回帰する方向にブレイクが発生すれば大きな値幅が見込めます。

チャート上のトライアングルもMACDのレンジも、かなり狭い値幅でもみ合っています。下方ブレイクを確認してからエントリーしても、十分なリスクリワードレシオを持ったトレードが可能なのです。

さらに、MACDは「シグナルとのクロス」と「水平ラインブレイク」を同時に発生するため、高精度のシグナルを発します。これで両方の条件が満たされました。

待つのが苦手な人は、ポジションコントロールに気を配ろう

さんざん待つべきと書いておきながら、実は私も待つのが苦手です。昔と比べればましにはなったものの、生来の性格はそう簡単に変えられるものではありません。

そんな人におすすめなのが、ポジションコントロールです。

エントリー回数が増えるため、1回当たりのポジションは小さくします。もしダマシにあったと感じたら、すぐに一部を損切りします。ある程度利益が出たら一部を利食いしておくことも、ダマシに会った時のダメージを軽減するのに役立ちます。

順調にトレンドが進んでいけば、シグナルが複数出ますから、そのたびに徐々にポジションを膨らませていきます。

エントリーしたいという欲求を満たしつつ、同時にリスクコントロールにもなっているので、私は気に入っています。

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