2020年7月23日木曜日

ハーモニックパターンを利用したトレード手法

ハーモニックパターン分析はフィボナッチ比率を利用して相場の反転を予測するトレード手法で、欧米を中心に多くのトレーダーに支持されている手法です。

高い精度を誇り、近年は日本でも注目を浴びつつあります。

ハーモニックパターンとは

ハーモニックパターンとは、「相場の反転が起こりやすいチャート形状(パターン)」のことです。フィボナッチ比率(※)に従って調和した美しい形をしていることから、ハーモニックパターンという名前がつけられました。

ほとんどのパターンがW字型もしくはM字型をしていて、それぞれにBatパターン、Crabパターン、Butterflyパターンといった名前がついています。

※フィボナッチ比率:フィボナッチ数列の中に現れる比率のことで、0.382、0.618、1.618などがあります。チャートの中だけでなく自然界の多くの現象に現れる不思議な比率です。

例:Crabパターン


代表的なパターンのひとつ、Crabパターンを見てみましょう。
これは売りパターンでW型をしています。
はさみを広げたカニに見えますか?

5つの頂点にはX,A,B,C,Dという名前がついています。
数字はフィボナッチ・リトレースメント/エクステンションの比率です。

パターンごとに決められた比率があり、それに従った波動を形成するとハーモニックパターンとして検出されます。この例ではCrabパターンが見事に決まり、その後の大きな反転へとつながっています。

代表的なハーモニックパターン

Gartley, Bat, Alt Bat, Crab, Deep Crab, Butterfly, ABCDの7パターンは最も基本的なパターンで、多くの書籍やWebサイトで解説されています。以下にCrabを除いた残り6パターンを示します。

これらの他にもSharkや3 Drivesなど上記7つの後に発見されたため準メジャーな位置づけのパターン、White SwanやAnti Batなど世界中のトレーダーから提案された新パターンなど数多くのパターンがあります。

・ハーモニックパターン一覧(全46種類)

GartleyBatAlt Bat
Deep CrabButterflyABCD

ハーモニックパターンのトレード方法


ハーモニックパターンのトレード方法やトレードツールは複数ありますが、ここではハーモニックパターンの発案者であるScott Carneyが提案しているトレード方法を、Star Harmonicインジケーターを用いて解説します。

高精度なハーモニックパターン検出ツール、Star Harmonic

正確なチャート解析を行うことで、的中率の高いパターンを検出します。46種のパターンを搭載!

上図のチャートでは売りのWhite Swanパターンが成立して、いい感じに反発しています。このチャートを例にしてエントリーとエグジットについて見ていきましょう。

エントリー


ハーモニックパターンの条件が成立すると、チャート上にパターンの図形、右側のスペースにフィボナッチリトレースメントとPRZが表示されます。

PRZとはPotential Reversal Zone(潜在的な反転ゾーン)の略で、複数のフィボナッチエクステンション/エキスパンションの水準(ライン)によって構成されています。簡単に言うと「そのパターンが成立するとこのゾーンの中で反転しやすいですよ」ということを示しています。

つまり、それぞれのパターンが示す反転サインはピンポイントの水準ではなく、ゾーンとして幅を持った水準なのです。

PRZの中に含まれる水準(ライン)の中でも、複数の水準が重複/近接していたりトレンドラインと交差していたりすると、そこで反転する確率が高まります。エントリーポイントを決めるときには、このようなPRZの特性を踏まえて、なるべく引き付けた位置でエントリーします。

上図ではサインが出たポイントでエントリーしても悪くないですが、PRZの中の1本目のライン(107.35)まで引きつけてエントリーできるとbetterですね。

エグジット(利益確定)

ハーモニックパターンが捉える反発は大きいものから小さいものまで様々です。利益確定の目標値は、初期の目標値を38.2~61.8%レベルに定め、ここに到達した後はトレーリングストップを使って利益を伸ばします。

具体的には大きくて値幅の大きいパターンの時には38.2%、小さいパターンの時には61.8%という具合に調整するといいでしょう。

トレーリングストップの方法は、反発後に到達した最高値/最安値からの38.2%戻しに設定する方法が紹介されています。もっとも特別なツールを使わないと難しいので、実際には通常の固定値幅のトレーリングストップで代用することになると思います。

エグジット(損切り)

損切りの目安にもPRZを用います。PRZは反発しやすい抵抗ラインであるので、その水準にストップを置くことは理にかなっています。

機械的にPRZ内で一番奥の水準をストップにおいても良いですが、前述した特性を利用して反発しやすい水準にタイトなストップをおくのがお勧めです。ハーモニックパターンは当たる時は当たる、外れる時は素通りで外れる、と割とはっきりしているので、損小利大のトレードを仕掛けやすいのが強みです。

上図ではPRZに2本しかラインがなくて、重複や近接もしていませんから、2本目のラインにストップを置くことになります。

高勝率なトレードのために



ハーモニックパターン分析は精度の高い反発ポイントを教えてくれる優れた手法です。そこに下記のような工夫を加えると、さらに精度を高めることができます。
きれいな形のパターンをトレードする
パターンの形状は成功率に影響を与えます。バランスの悪いパターンよりも、均整の取れたパターンの方が成功率が高い傾向にあります。
チャートパターン分析と組み合わせる
Wボトムやヘッド&ショルダーなど古典的なチャートパターンは非常に強力です。エントリーはもちろん利益確定や損切りにも利用できるので、是非とも活用しましょう。
トレンドライン分析と組み合わせる
トレンドライン分析は最も基本的かつ最も強力なチャート分析法です。おそらくハーモニックパターンに興味を持つ人ならその有用性を既にご存知のはず!
上位の時間軸のチャートの分析
上位の時間軸のチャートを分析し、長期のトレンドやマクロな視点での反転ポイントを分析することは重要です。長期のトレンド方向に仕掛けるときは利益確定や損切の値幅を大きくする、ロット数を増やすなどの工夫ができます。
他のテクニカル指標を併用
RSIやストキャスティクスなどのオシレーターや、ボリンジャーバンドやTDシーケンシャル(上図)などの逆張り型のテクニカル指標はハーモニックパターンと好相性です。複数のインジケーターが反転を示唆している場合は、より勝率が高いと考えることができます。
トム・デマークの傑作、TD Sequential

相場の天底をとるという超積極的逆張りインジケーター!
ハーモニックパターンとの相乗効果は抜群!
波動分析
エリオット波動や一目均衡表(波動論、時間論、水準論)など、相場を波動ととらえて経験的な規則性から反転を予測する手法があります。高度な分析手法ですが組み合わせてみるのも面白いかもしれません。
チャートからは読み取れない情報の利用
ハーモニックパターン分析は静的なチャート分析手法、つまり動いていないチャートに対しても適用できる手法です。逆に言えば、プライスアクションが考慮されていません。またシステマチックな手法なので、相場心理やファンダメンタルズも考慮されていません。このような利用されていない情報を加味することにより、より精度を高めることができます。

まとめ

ハーモニックパターンはフィボナッチ分析をさらに推し進めて開発された、比較的新しいチャート分析法です。

若干の裁量判断が入る余地があるものの、高い精度を誇り、また比較的システマチックでトレードに取り入れやすい手法です。ほかのチャート分析やテクニカル指標を組み合わせることで、さらに精度を向上させることができます。

近年は日本でも利用者が増えてきた新進気鋭のトレード手法!
ぜひ読者のみなさんもLet's Harmonic trading!

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