「移動平均の読み方」シリーズ第4回は、トレンドラインとパターンについてです。
移動平均でもトレンドライン&パターン分析が使える
トレンドラインやパターンの分析は、ローソク足だけでなく、多くのテクニカル指標に適用できます。RSI、MACD、移動平均などなど。ローソク足でトレンドラインやチャートパターンを分析するだけでも、十分にトレードすることができます。ではなぜ、移動平均でもこれらを考える必要があるのでしょうか?
移動平均でトレンドラインやパターンを考えることには、以下のような利点があります。
- ローソク足上には現れない、隠れたチャートの構造に気付くことができる
- ローソク足上のシグナルと同時に現れた場合は、精度が高いと判断できる
- 長大線やヒゲの与える印象(ノイズ)に惑わされない
隠れたチャートの構造に気付くことができる
ポンドオージー4時間足にEMA(21)を表示しています。チャート構造を分析する時には、このように縮尺を小さくした方が、分かりやすいです。天井圏に4トップのパターンができています。
ポイントはその後に鋭く戻しているところです。ローソク足では直前の山と同じ高さまで戻しています。赤いトレンドラインをピッタリ試してから反転しています。
移動平均の方はというと、4トップのネックラインを試して反転する典型パターンとなっています。
これら2つを総合すれば、ここから下落トレンドへ転換する可能性が高いと判断できます。移動平均線とのデッドクロスが現れたポイントは、格好の売り場となりました。
もちろん、その後の水平ラインブレイクで追撃売りです。
次の局面は強力なレジスタンスラインをブレイクする場面です。ローソク足にも移動平均線にも、5点を結んだ長く強力なレジスタンスラインを引くことができます。
注目すべきは、結ばれている山が異なることです。このようにローソク足上と移動平均上ではトレンドの現れ方が違っている場合があります。一方が正解で他方が間違っているわけではなく、両方が正しくトレンドを表しています。値動きの視覚化の方式が異なっているから、生まれる違いなのです。
ブレイクのタイミングはほぼ同時でした。トレンドの現れ方が異なっているのに、平行なトレンドラインを引くことができ、さらに同時にブレイクするというのは、そのブレイクが本物であることを予感させます。
しかしこのブレイクは、ローソク足で見ると、サポートラインへ転じたはずのトレンドラインを割り込んで、レンジ内へ戻ってきてしまいました。ダマシだったのでしょうか?
諦めるのはまだ早いです。移動平均線を見てみましょう。こちらはブレイクの後に、レンジ上限の山を試す教科書的な展開となっています。
その後は水平ラインブレイクを経て上昇していきました。ブレイク直前には小さなスイングができ、山2つを超えていく精度の高いシグナルが出ています。
ノイズに惑わされずにトレードできる
長く突き出したヒゲ、せっかくのブレイクをダマシにした長大線、こうした足を見て二の足を踏んでしまい、せっかくのチャンスをふいにしてしまった経験は誰にでもあると思います。後で振り返ってみると、絶対に取れるポイントだったはずなのに。。。
暴れ馬、ポンドドルの日足チャートです。値幅のある見事な上昇トレンド、そしてそれを上回る立派な下落トレンドです。
視点を引いて見れば綺麗なチャートでも、拡大すれば200ポイントオーバーの長大線がごろごろしています。激しい値動きを目の当りにすれば、今度こそトレンド反転するかもしれない、と腰が引けてしまうのも無理ないことです。
こんな時には、ローソク足を消して、移動平均線だけを眺めてみることをお勧めします。
こうしてみると、実に簡単そうな相場です。いったい何をためらうことがあったのでしょうか。
ダブルトップを作って下落に転じた相場は、トリプルボトムで応戦し再び上昇を始めました。かつてダブルトップがあった水準を抜けると、上昇トレンドチャネルを形成して着実に高さを増していきました。
ところが、長大なトレンドラインをブレイクしたことにより、形勢は一気に逆転します。これまで積み上げたものを突き崩しながら、堰を切ったように下落していきました。
ローソク足上ではあれほど激しく上下していたにも関わらず、移動平均線はわき目もふらずひたすらに下を目指しています。反転の兆しなどどこにも見当たりません。戻したところは、皮算用を楽しみながら売っておけばよかったのです。
以前トリプルボトムを作った水準でようやくの反発。しかし抵抗もむなしく、もう一段の下げを演じました。
人間はバイアスに影響されやすい生き物です。激しい値動きに対する恐怖、値ごろ感、負けトレードのトラウマ、などなど。移動平均の持つノイズ除去という性質は、チャート上だけでなく、頭の中に湧いてくるノイズも消してくれます。
ちなみに、コンピューターでトレンドやパターンを認識する場合にも、移動平均によるノイズ除去が役立つことがあります。
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次回は移動平均を組み合わせて使うテクニックを解説します。
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