2015年6月1日月曜日

移動平均の読み方(1): 移動平均の役割

最も基本的なテクニカル指標、移動平均線。チャートを用いてトレードを行う人ならば、目にしたことのない人はいないはずです。

最も基本的とはいえ、昔から現在まで使われ続け、プロの実用にも耐える移動平均です。実は奥の深いテクニカル指標なのです。

第一回は、”移動平均線の持つ3つの役割”について解説します。

1.ノイズを除去して、トレンドを明らかにする


このチャートを見てどんなトレンドがあると思うでしょうか?

レンジの後に上昇トレンド、下落、上昇、下落、最後はまたレンジ、という細かい分析をする人もいるでしょう。全体的にみて下落トレンドだと答えるのも正解です。大きく上下した結果、左端と同水準の価格まで戻ってきているからレンジ相場だ、という主張も一理あります。

どこからが上昇トレンドの始まりで、どこが終わりと考えるのかについても人によって異なります。同じ人でも、時と場合によってトレンドの捉え方が変わることもあるでしょう。

人間がトレンドを捉える時には、個人差や状況判断による差が出やすく、基準が不明確なのです。


ここで40日の単純移動平均を表示すると、話はシンプルになります。前半は上昇トレンド、後半は下落トレンド、最後は上昇に転じつつある、と説明できます。

相場は上がったり下がったりを繰り返していて、そのままでは方向性が分かりにくいことがあります。移動平均は、上下動によるノイズを取り除き、トレンドを分かりやすく視覚化してくれる効果があるのです。

特にコンピュータが相場のトレンドを認識する場合に、移動平均は簡単かつ有効でよく使用されます。コンピュータは人間のようなあいまいな判断が苦手なため、基準が明確であることが重要なのです。

2.売り手・買い手の平均価格を知る

80円から100円へ上がり、90円まで調整が入った後110円まで上がった相場をイメージしてください。参加者は12人のスイングトレーダーたち。ブル派6人 vs ベア派6人のガチンコ対決です。
日数売り手価格買い手価格6日移動平均
1日目80円80円
2日目90円90円
3日目100円100円
4日目90円90円
5日目100円100円
6日目110円110円95円
戦いが行われた6日間の売買履歴です。取引は売り手と買い手のペアがいて成立しますから、これがそのまま12人の参加者たちのポジション状況となっています。

6日目の時点で売り手の平均価格を計算してみると95円。買い手の平均価格もやはり95円です。そして6日移動平均も95円。確かに移動平均の値が、参加者のポジションの平均価格になっています。

実際はこれほど単純ではないですが、移動平均は”設定した期間と同じスパンで取引を行っている参加者”のポジションの平均価格である、と理解しておけばいいでしょう。

応用例

5分足に96期間の移動平均を表示して、8時間前(5分x96=8時間)に取引していたトレーダー達の平均価格を参考にしながらスキャルピングを行う、というような使い方ができます。適切に期間を設定すれば、アジア勢、欧州勢、NY勢それぞれのポジションの平均価格をチャートに表示しながらトレードできます。

また、このことを頭に入れておけば、相場の解釈もしやすくなります。

ゴールデンクロスが起これば、ベア派の半数の人々にとっては、今まで含み益があったのがなくなってしまったことを意味します。彼らは傷の浅いうちに損切りの買戻し注文を出そうとするでしょう。当然、相場は上昇します。ゴールデンクロスが買いのサインだと言われるのはこのためです。

逆の事も起こり得ます。強いトレンドがあるとき、移動平均まで戻してはトレンド再開を繰り返すことが良くあります。下落の例をとってみれば、移動平均まで戻したところは、やられていたブル派の人々にとってはトントン撤退で逃げるチャンス。彼らがこぞって手じまいの売り注文を出すため、そこで下落再開するのです。

三市場のポジション価格を反映するように移動平均を設定する手法は、JFXの小林さん流です。インターバンク出身だけあって、ライバルである海外勢を意識したトレード手法ですね。

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3.トレンドの過熱度合いを測る

相場が急激に動く時、ローソク足が移動平均線をはるか後方においてけぼりにしたまま突き進む姿を目にしたことがあると思います。


しかし、どれほど一方的な相場でもいずれ終わりがやってきます。クライマックスを迎えて激しく動いた後、動きが一瞬止まると、堰を切ったように利食いの嵐が訪れます。遅れて参戦した人たちは、利食いの相手、つまり損切りをするというつらい役目を負わされます。

こうして鋭く戻した相場は、やがて移動平均線との再会を果たすのです。

移動平均線とローソク足の乖離は、トレンドの過熱度合いを測るための重要な目安となります。逆張り派の人々は、いつか必ず移動平均線まで戻ることを利用して、過熱がピークに達したところで仕掛けるのです。

注意点

ただし、注意しなくてはならないことが2点あります。

一つは、どれだけ乖離したら反転するのか、が分からないことです。下手に逆張りをすると、串刺しにされます。彼らの損切はトレンドを加速させます。逆張り派の人にとっては、さっきまで味方だった者が自分にナイフを突きつけに来るようなものです。

もう一つは、ローソク足が移動平均線と合流するために、真横に移動するかもしれないということです。非常に強い相場では、勢いが弱まってもレンジに入るだけでほとんど戻さないことが良くあります。真横に移動していても、いずれは移動平均線と合流しますが、これは逆張り派の人が期待した形ではありません。

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