2015年6月2日火曜日

移動平均の読み方(2): 古今東西の移動平均

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「移動平均の読み方」シリーズ第二回は、”古今東西のさまざまな移動平均”についてです。

移動平均にはいろいろ種類がありますが、差が出てくるのは以下のようなポイントです。
  • 滑らかさ(ノイズ除去能力)
  • トレンドへ追従する速さ
  • 転換時のオーバーシュートやアンダーシュートの少なさ
最も基本的な単純移動平均に比べて、これらのポイントがどのように違っているのかに着目しながら見ていきましょう。

古典派メジャー三人衆

まずは多くのチャートに搭載されている、メジャーな移動平均3つを比べてみましょう。


基本の単純移動平均(SMA, 青)、新しい価格をより重視する指数移動平均(EMA, 黄)加重移動平均(WMA, 赤)です。期間は30日です。

ざっくり評価すればこのような感じでしょうか。

滑らかさSMA > WMA ≧ EMA
追従性WMA > EMA > SMA
転換性EMA > WMA >> SMA

単純移動平均線(SMA)は特性は他に劣るのですが、市場参加者の平均価格の目安として優れていること、シンプルイズベストの精神から根強い支持者がいます。200日移動平均は多くの参加者が注目しています。

指数移動平均(EMA)はバランスが取れており、MACDをはじめとした様々なテクニカル指標の計算のために使用されています。スキャルピングを行う人は、1分足でEMA(21)がサポートやレジスタンスとして機能しやすいことに気付いているでしょう。

日本では加重移動平均(WMA)を使用している人は少ないですが、改めてみるとなかなか優秀な移動平均線です。高い追従性と滑らかさを両立しており、オーバーシュートやアンダーシュートも小さいです。

新しい移動平均たち

トレードするのに適した値幅を生み出す転換点では迅速に向きを変え、すぐに折り返すような小さな上下動はノイズとして除去する。このような移動平均があれば理想的です。

優れた性質を求めて、いろいろな移動平均線が開発されてきました。


Alan Hullの開発したHull MA(HMA, 青)、John Ehlersの開発したEhlers MA(MMA, 紫)、Ehlers MAを標本化定理を用いて進化させたNyquist MA(NMA, 黄)TRIXにも使用されているTriple Smoothed EMA(T3MA, 赤)を表示しています。どれも期間は30日です。

滑らかさT3MA > HMA ≧ MMA > NMA
追従性NMA > MMA > HMA >> T3MA
転換性NMA > MMA > HMA >> T3MA

Hull MA(HMA)は追従は速いものの、オーバーシュートやアンダーシュートが大きく、少し使いづらそうです。

Ehlers MA(MMA)は2001年に開発され、2nd Generation MAと分類されることがあります。Hull MAと比べると、転換性はずいぶん改善しています。

Nyquist MA(NMA)はMMAの改良版で、2011年に発表された新しい移動平均です(3rd Generation MA)。30日という期間にも関わらず、非常に高い追従能力を持っていることが分かります。5日単純移動平均に匹敵するレベルでありながら、一定の滑らかさ(ノイズ除去能力)を維持しています。

T3MAは、指数平滑化を3回も行うので追従性がとても低いです。しかしこれは、他の移動平均線と期間を合わせることが、本来の期間設定の仕方ではないからです。5日に設定してみるとこの通りNMAに匹敵する性能です。平滑化を3回行うことで、短い期間でも滑らかさを維持できるのがT3MAの強みなのです。


こうした追従性の高い移動平均は、なるべく早い段階でエントリーしたい人や、細かくトレードしたい人に向いています。素早く売買サインを出しつつも、ノイズによるダマシをふるいにかけてくれるからです。

これらの他に、GMMAのように異なった方向性の進化を遂げた移動平均も登場しています。

いままで単純移動平均しか使ってこなかった人も、試しにこうした移動平均を使ってみてはいかがでしょうか?
ダウンロード: 「MT4インジケーター: 移動平均セット」

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次回はいよいよ実戦テクニック、”水平ラインブレイク”を解説します。


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