「MACDの本当の使い方」シリーズ第六回は、”逆ダイバージェンス”についてです。
”隠れダイバージェンス”や”リバーサル”と呼ばれることもあります。本家のダイバージェンスと比べるとマイナーですが、マニアックな方はご存知でしょう。
何が”逆”なの?
実は逆ダイバージェンスも、チャートの動きとMACDの動きに相違があるという意味では、ダイバージェンスの一種です。ではなぜ、頭に”逆”とついているのでしょうか?それは、ダイバージェンスがトレンド転換の前触れとなるのに対して、逆ダイバージェンスはトレンドの継続・強化を予兆するからです。
以下の2パターンがあります。「チャートは安値切り上げなのに、MACDは安値切り下げ」、といったスイングポイント同士の位置関係による定義が一般的ですが、私はより大ざっぱな捉え方をしています。
- チャートはゆるい上昇もしくは横這いなのに、MACDラインは下落。
- チャートはゆるい下落もしくは横這いなのに、MACDラインは上昇。
階段状トレンドを見かけたら逆ダイバージェンスを探せ
昨年中旬から始まったユーロドルの階段状の大下落相場(3500ポイント!)は、逆ダイバージェンスを見てくれと言わんばかりです。チャート上では大きく下落した後、小幅に戻しています。一方、MACDの方は大きく切り返して、本格的な下落が始まった時と同レベルまで戻しています。
チャート上ではほとんど戻していないのに、MACD上では大きく戻したところが「相違(Divergence)」なのです。
その後は下落トレンドが再開し、「水平ラインブレイク」&「ゼロラインより下のデッドクロス」で売り。再開したトレンドはすぐに横這いに転じたように見えますが、500ポイント落ちてます!ユーロの下落が凄すぎたんです。
再び階段ができたところで、少し見方を変えてみましょう。チャートは緩やかに下落する一方、MACDは全体的に上昇しています。しかし、MACDにとっても頭の重い展開になりつつあるようです。
上がらないなら落ちるしかない、ということで「ゼロラインより下のデッドクロス」で売り。その後は「トレンドラインブレイク」も発生し、3度の「水平ラインブレイク」を経て、大きく下落していきました。
階段逆ダイバーは、市場センチメントの強い傾きの証拠
上のチャートの時点では、すでに1.4から1500ポイント以上も落ちていました。遅きに失した、と参入をためらった人も多かったかもしれません。通常のトレンド相場なら、順張り派の利食いや逆張り派の参入によって、1/3~1/2程度の戻しがあってもいいはずです。
それにも関わらず、大きく下落したのに階段を作るだけでろくに戻せない、というのは市場参加者の心理が売りに大きく傾いている証拠です。
逆ダイバージェンスが発生することは、チャート上では戻してないかもしれないけれど、市場参加者の心理は再び売り込むための準備ができた、というサインなのです。
先の相場にはまだ続きがあります。2500ポイントも下落してなお階段を作る、誰も買おうとしない市場心理。そこからさらに1000ポイントの急落。パリティーなんて、といっていたアナリストもこの相場には真っ青でした。
もはや解説は不要でしょう。階段、逆ダイバージェンス、「ゼロラインより下のデッドクロス」で売り。
どれくらいの水準が高いか安いかは、相場が決めることなのです。我々はチャンスが来れば突っ込むのみ!
逆ダイバージェンスをマスターして、高値で買ってさらに高値で売る、太い肝っ玉を身につけましょう。(今回は売りだから逆ですが。。)
Next Topic
これで必要な道具は出揃いました。次回はいよいよ実戦テクニック、”ダマシ対策”です。
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Peaky FXさんへ
返信削除度々、すみません。
逆ダイバージェンスについてなのですが、通常のダイバージェンスと区別が難しく、なかなか判断できません。通常のダイバージェンスが「チャートは低値切り下げ、MACDは低値切り上げ」で逆ダイバージェンスが「チャートは高値切り下げ、MACDは高値切り上げ」ですよね。2番目のチャートのダイバージェンスしている部位を見ると、「チャートは低値切り下げ、MACDは低値切り上げ」して普通のダイバージェンスにもとれそうな気がするのですが、どのように判断するのが良いのでしょうか?
Peaky FXさんの拡大解釈の「ゆるい下落」の場合は、低値とか高値とかは気にしないで良いということなのでしょうか?
よろしくお願いします。
とても詳しく記事を読んでいただいて光栄です。
削除ダイバージェンスと逆ダイバージェンスに関しては、この図を見るとよく分かると思います。
https://c.mql5.com/3/16/divergence_1.JPG
記事のEURUSDチャートを見ると、チャートはLHかつLLでMACDはHHかつHLとなっており、ご指摘のとおりダイバージェンスと逆ダイバージェンスが同時に発生しています。トレンド転換とみなすか継続とみなすか悩ましいところですが、2種類のダイバージェンスが発生する理由を理解すると方向が見えてくると思います。
ダイバージェンスは、順張り派と逆張り派が激しい攻防をする中、順張り派がなんとか新値更新するも、トレンドの勢いが弱まってしまった時に発生します。一方逆ダイバージェンスは、本来なら順張り派の利食いや逆張り派の参入によって1/3~1/2程度のプルバックがあってもいいはずのところが、参加者の心理の傾きが一方的すぎてそれが起こらない時に発生します。
今回のケースは、チャートの形を見ても当時の市場センチメントを思い出してみても、後者がより当てはまるのではないでしょうか。
私は、こうした発生理由を踏まえると、より柔軟な判断が適していると考え、おおざっぱにダイバージェンスを解釈しています。高値や安値の位置関係は、気にしていないというよりも、そちらよりMACDライン全体の動きを優先して解釈しているという感じです。
Peaky FXさんへ
返信削除いつも、詳しい解説ありがとうございます。
迷ったときは、相場の雰囲気とMACDライン全体の動きを踏まえて判断したいと思います。
ありがとうございました。
peakyFXさんへ
返信削除Fx初心者の主婦です。とても勉強になる記事どうもありがとうございます。
私は、ダイバージェンスもしくは逆ダイバージェンスが起きているのか、単にレンジ相場でMACDが正しく動いていないのか判断出来ません(^_^;)本日の日足のCAD/JPYはどのように判断すればよいのでしょうか?
記事を読んでくださりありがとうございます。
削除カナダ円は、チャートは横ばいなのにMACDが上昇していて、逆ダイバージェンスが発生しています。週足や月足も弱いので、下方向を狙いたいですね。今日が陰線で引ければ、短期MACDで水平ラインブレイクも発生しそうに見えます。このままトライアングルのブレイクまで行ければ、もう一段の下落が期待できそうです。(外れたらごめんなさい・・)
いいトレードになるといいですね!
返信どうもありがとうございます。
返信削除とても勉強になります!
水平ラインブレイクしたと思ってエントリーしたものの、エントリー早すぎたようで16時以降の相場の上昇でびっくりして損切してしまいました。。。ただの戻しなのでしょうか?
エントリー早すぎたことと、戻しがあった場合の許容できる値を決めていなかったことが悔やまれます。。。Peaky FXさんでしたらいくつに設定しますか???
これからも勉強させていただきますのでどうぞよろしくお願いします(*^_^*)
日足でトレードするにしては、損切幅が小さすぎたのではないかと思います。
削除損切ラインの置き方にはいくつか方法があります。直前の足の高値(90.5)、下落トレンドラインに当たるところ(90.5~91)、直前の抵抗ライン(91)などのチャートポイントを元にした方法のほか、ATR(足の長さの平均)の1.5~2倍程度に置く方法などがあります。私は場合に応じてこれらを使い分けています。
ATRは特に大事で、これより小さい幅で損切ラインを置くと、足1本分の逆行にすら耐えられないことになってしまいます。16時の戻しでびっくりしてしまったのは、ポジションのサイズが大きかったからではないでしょうか?損切幅から逆算して、精神的に余裕を持って耐えられるサイズのポジションにするのがいいかと思います。分割して少しずつポジションを構築していく方法もおすすめです。
エントリーのタイミングに関しては、足が確定してから派であれば確定後すぐ、もしくは少し待って終値より有利になったところです。私のように待つのが苦手派は、シグナルが出たらすぐです。今回のトレードでは28日夜の水平ラインブレイクですね。
少し戻していますが、トレンドラインは維持されており、今のところ下落トレンドは継続中です。相場は逃げないので、またチャンスはあると思います。負けは引きずらずに気持ちを切り替えて行きましょう!